工事一時中止 経費上乗せ明言/五輪期間中の都発注工事対応 大きく前進

 東京五輪期間中の都発注工事調整に関連して、現場稼働の有無やコストアップに対する対応などさまざまな不安が先行するなか、東京都は都議会本会議で工事一時中止などの場合に経費を上乗せすることを明言した。増子ひろき議員(都民ファーストの会)の質問に対し、武市敬財務局長が答えた。 =1、2面参照 経費上乗せに言及した武市局長答弁のポイントは2つある。1点目は今後契約を締結する案件について、工期の適切設定をしたうえで、経費の上乗せを行うとしたこと。
 2点目は、既契約案件も契約約款に基づき必要な措置を行うことに言及したことだ。いずれも工事一時中止を発注者が判断した場合には、規定に沿った対応を示した。既契約分については、東京都が改定した「工事請負契約設計変更ガイドライン」を4月に公表しており、これに沿った対応になると見られる。
 ただこれまで、受注者の責によらない事由による工事の一時中止に関する規定があってもなお、発注者がコストアップ分を負担することに建設企業が一抹の不安を抱いていたのは、経費上乗せという具体的文言をこれまで都が避けてきたことが大きな理由だ。公共工事の場合、予算は単年度編成が原則。当初契約額がアップする設計変更に発注者が難色を示す傾向があることも建設業界の不安の一因だった。
 実際、今夏に試行した交通混雑緩和に関する取り組み「スムーズビズ」に関連して建設業界が行った都発注済み現場1360カ所での工事車両入場調整や高速道路利用を避けた輸送ルート変更、一部現場で8月24日休工日などの対応には、企業の自主的取り組みとしてコストアップ分は企業が負担した。
 ただ、試行結果を反映させ今秋に公表する、都庁発注工事の調整に関する取り組み方針「改定アクションプラン」には、経費上乗せを含むより細かな対応が盛り込まれる見通し。
 財務局長発言に伴う東京都対応は、建設業界が抱える東京五輪対応不安で言えば、大きな前進である一方、道のりの半分程度にすぎない。大手・準大手・中堅元請企業にとっては国と民間発注者の動向に、また中小・零細の地元元請企業は、市区町村の対応に関心が集まる。さらに下請けも職人が日給月給の場合、現場閉所に伴って別現場への応援作業を希望する可能性は高く、元請けに対し早期の現場対応判断を求めていた。

Source: 建設通信新聞
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